研究グループ

チーフディレクター

ディレクターズ

支持療法・緩和治療

(Supportive and Palliative Care)

全田貞幹

安部正和石黒洋島津太一中谷直樹橋本浩伸松岡弘道松本禎久

心理社会的ケア・サバイバーシップケア

(Psychosocial and Survivorship Care)

藤森麻衣子

明智龍男稲垣正俊島津太一中谷直樹

支持療法・緩和治療

緩和医療の現場では、疾患そのものから生じる痛みや倦怠感などの症状に加え、疾患に対する治療(抗がん剤治療や放射線治療など)に起因して生じる不快な症状(嘔気や皮膚障害など)を和らげるため、多くの薬剤が経験的に用いられています。しかし、それらの有効性と安全性については十分な科学的エビデンスがないものも多く、質の高い臨床研究に基づいた標準療法の確立が国際的にも重要な課題とされています。本グループでは、様々な苦痛症状に対する緩和ケアもしくは支持療法における薬物介入研究を積極的にサポートします。

心理社会的ケア・サバイバーシップケア

心理社会・行動介入(Psychosocial and Behavioral Care)は、“人の行動”に関わるすべての介入をカバーします。ここでの対象は、がんサバイバ―本人、ご家族、支援スタッフ、とりまく社会全体を含みます。サバイバ―一人一人に対する支援法に関する臨床研究はもちろんですが、地域全体に働きかけるような社会的介入も視野に入れています。ここでいう“行動”には、人々の知識・認識や態度を含みます。対象となる介入として、医療・ケア提供のあり方(例:心理社会的な内容と提供方法に関する研究など)、患者-医療者間のコミュニケーション、意思決定支援、看護・介護、リハビリ、食・栄養、就労、身体活動、心理療法、心理実験など、様々なモダリティーを想定しています。また、アウトカムとしては、気持ちのつらさ、自殺、身体症状、QOLなどの健康アウトカム、医療安全、生体反応、反応数、実施率などの行動指標、自己効力感、適応感などのPROと、様々な側面から検討します。人々の“こころ”に触れる医療・ケアの革新に貢献していければ幸いです。

普及実装科学/多様性・サーベイランス

実装科学は、患者、保健医療従事者、職場、コミュニティー、行政など、マルチレベルのステークホルダーと協働しながら、エビデンスに基づく介入を、効果的、効率的に日常の保健医療に組み込み、定着させる方法を開発、検証し、知識体系を構築する学際的学問領域です。J-SUPPORTでは、その重要性にいち早く着目し、2018年よりがん領域に限らず広く実装研究の支援を行ってきました。この活動がもととなり疾患横断的に、さらに国際保健なども包含した形で発展し、2019年には国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部(JH)による支援を受けた「健康格差是正のための実装科学ナショナルセンターコンソーシアム(N-EQUITY)」が設立されました(https://www.ncc.go.jp/jp/icc/behav-sci/n-equity/index.html)。これにともない、2021年度からはJ-SUPPORT研究の実装科学的支援についてはN-EQUITYとして進めていくこととなり、ネットワーク強化をはかって研究推進することとなりました。サーベイランスの支援は、緩和ケアに関する現状の評価や観察研究、支持療法開発のニーズの把握などの支援を継続していきます。