患者・市民とともに歩む J-SUPPORT

 日本がん支持療法研究グループ:J-SUPPORT(Japan Supportive, Palliative and Psychosocial Oncology Group)は、がん患者・家族のQOL向上をめざし、質の高い支持・緩和・心のケアの臨床研究を実施・支援する目的で2016年2月19日に設立されました。個別の研究課題は、J-SUPPORTメンターによりコンセプト作成を伴走型支援され、ポリシーに従って18課題が承認され、競争的公的及び民間研究費が獲得された後、運営・実施されてきました。現在、J-SUPPORTは恒常的な多施設臨床研究体制として維持され、中央病院支持療法開発センター及びがん対策研究所支持・サバイバーシップTR研究部に事務局を置く任意団体として運営されています。

 

 活動にあたり4つの運営方針を心がけてきました。

A.All Japan オール・ジャパン体制 

特定の既存組織に拘らず、全国の関連組織に呼び掛け、すべてのリソースを動員する

B.Bridging and making optimization 効率化 

全国に散らばる、小規模研究を、早いコンセプト段階で橋渡しによって最適化する

C.Cooperation 協調 

既存の研究グループを尊重・協調し、個々の利害に陥ることなく確実な成果につなげ、全国の患者・家族のために汗を流すことを惜しまない

D.Dialogue and diversity 対話と多様性 

地域、グループ、施設や職種の違いを尊重して関係者間の対話を重ね、支持療法開発のために努力する

 

 2016年の設立後、J-SUPPORTの利他活動が実り、18の研究課題すべてがJ-SUPPORT承認研究として無事競争的資金を獲得しスタートしました。6つの研究課題は終了して論文として公開され、1課題(化学療法誘発性悪心・嘔吐予防に対するオランザピン試験)は診療ガイドライン導出を果たし、相前後して保険収載されました。今後、さらに事業化戦略を推し進め、医薬品、機器開発、ヘルスケア開発に挑戦します。また、社会の風を敏に感じ取るために、より一層、患者・市民の参画(Patient and Public Involvement:PPI)、医療福祉機関、アカデミア、企業、行政の参画を推し進めます。

2022年3月
J-SUPPORT:日本がん支持療法研究グループ
代表 内富庸介