日本放射線腫瘍学研究機構 理事長 秋元哲夫

根治を目指した治療評価では、生存率や局所制御率などのある意味ではシンプルな評価尺度・エンドポイントは採用されています。しかし、放射線治療の有効性や評価では、治療後の生活の質(QOL)や症状緩和、臓器温存による機能維持など、これまでの臨床試験ではあまり重要視されてこなかった指標が重要になると実感しています。そのため、このような視点での評価方法の妥当性や評価尺度の確立を見据えた質の高い臨床試験実施環境や組織の立ち上げには、多くの放射線腫瘍医にとっても朗報となります。また、支持療法の向上・開発は、治療成績向上に繋がる大きな意義を有していると考えており、放射線腫瘍学の立場からも推進すべき重要な課題と考えています。J-SUPPORT がそのコアとなり、是非新しい視点での医療開発を進めていって欲しいと切望しています。

2016年6月

日本サイコオンコロジー学会代表 理事 明智龍男

がんは昔、不治の病、つまり、「がん=死」でした。しかし、外科手術が可能となり、放射線治療や化学療法が急速な進歩を遂げ、現在では、分子標的治療薬の登場などさらなる進歩をみせています。それでは私たちは、がんになっても安心して生活できるようになったのでしょうか?
お一人お一人が生活を営む患者さんの立場からしますと、まだまだがんが人の心に与える衝撃やその負担の強い治療に苦しまれている方が大勢おられるという現実が存在します。
日本サイコオンコロジー学会の目的は、学術団体としてがんを取り巻く医療と科学の発展に貢献することで、がん患者、家族及びがんと向き合うすべての人々の健康に寄与し、豊かな人間性を涵養することにあります。そういった意味で、日本初のがん支持療法研究グループへの極めて大きな期待を抱いています。ぜひ、私どもをはじめとした関連学会とも協力しながら、がんになっても安心できる時代の到来に貢献していただきたいと思います。

2016年6月

日本臨床腫瘍薬学会 理事長 遠藤 一司

 抗がん剤を用いるがん薬物療法に年々新規の薬剤や治療法が登場し、治療効果が高ま っています。一方で、新たな副作用が発生し、患者を悩ましています。日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)は、がん領域に関わる薬剤師を主体とする学会です。JASPO 設立の目的は、抗がん剤による最善の治療効果の実現、副作用の軽減および重篤な健康被害の未然防止です。がん領域で活動する薬剤師は、抗がん剤による治療を安全に効果的に行うよう、さらに患者に安心して治療に参加してもらうよう努力しています。がん領域の支持療法の確立に向けての研究活動を行う目的で設立された J-SUPPORT と JASPO は共通の使命を持っていると思います。特に科学的根拠に基づいた標準的支持療法の導入・普及はJASPO の願いでもあります。J-SUPPORT の研究者支援が更なる成果を出されることを期待しています。

2016年6月

公益社団法人日本臨床腫瘍学会 理事長 大江裕一郎

がん患者さんに対する緩和ケアや支持療法が非常に重要であることはいまさら言うまでもありません。しかし、緩和ケアや支持療法に関するエビデンス、特に日本人での高いエビデンスが十分にあるとは残念ながら言えない状況です。日本人の患者さんのためには、やはり文化、思想、価値観、宗教のことなる欧米でのエビデンスよりも、日本で得られたエビデンスに基づいた緩和ケアや支持療法が望ましいことは明らかです。
この度、J-SUPPORT が設立され、今後は日本からもこの領域での質の高いエビデンスが数多く発信されるものと大いに期待しています。

2016年6月

日本癌治療学会 理事長 北川雄光

がん集学的治療の進歩を支え、各種治療の横糸となってその安全性・有効性を担保しているのが各種のがん支持療法、緩和ケア、心のケアです。日本癌治療学会も領域、職種横断的な学術団体として、がん支持療法に関するガイドラインの策定、普及に注力して参りました。
J-SUPPORT はそのエビデンスを多施設共同研究で創出し、日本から世界へ発信するための画期的な研究グループです。J-SUPPORT が、既存のがん研究グループと連携しながら、独自の視点で独創的な研究を推進し、日本のがん治療の「総合力」を高め、すべての患者さんが安心して適切ながん治療を「十分に」受けることができるようになることを願っております。

2016年6月

一般社団法人 CSR プロジェクト 代表理事 桜井なおみ

Cancer Survivorship の概念をうたったMullan F は、「生存率の向上を目指すばかりで治療が引き起こす課題を顧みないのは、先進技術を使って溺れる人を水から引き揚げたあと、咳きこんで水を吐くその人をそのまま放置しているようなものだ」と語った(NEJM,1985;313(4);270-273.年)。
30年経った今日のがん医療の中で、変化は起きているだろうか?
私たちが2016年に発表した「がん経験者の就労調査(n=300)」では、就労継続に影響を及ぼした背景要因の第1位は「体力低下(458点)」、第2位は「価値観の変化(298点)」、第3位は「薬物療法に伴う副作用(240点)」。「手術に伴う後遺症(リンパ浮腫、排尿障害、発声など)」は185点で第6位である。
支持療法は、「がん患者が社会生活を継続する」という視点、すなわち、Cancer Survivorship を考える上でも大変である。がんになっても安心して暮らせる社会を実現していくために、私は、支持療法の浸透を心から願っている。

2016年6月

日本がんサポーティブケア学会理事長 田村 和夫

がんに伴うつらい心身の異常、がん治療に伴う副作用を軽減する支持療法は、がんを標的とした治療とならんで、がんの治療成績を左右する重要な医療です。しかし、支持療法を正面から取り組む研究者は少なく、エビデンス創出のための研究が基礎・臨床とも十分なされてこなかった現状があります。
昨年創設されました日本がんサポーティブケア学会(JASCC)は、支持療法研究の推進と情報発信、専門医療者の教育・育成を目的に活動を開始しておりますが、J-SUPPORTはまさに支持療法の臨床研究を全面的にサポートする組織として立ち上げられたものであり、JASCC の目指すところと合致するものであります。科学性、倫理性、信頼性を担保し、質の高い支持療法研究の実践は喫緊の課題であり、J-SUPPORT が日本の支持療法研究の方向性・ポリシーを明示し、研究者を支援して良質な研究が継続して実施されることを期待します。

2016年6月